自分で修理して使う 北欧のアンティークチェア

2008.08.18  

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張り替え中のソファ

 『北欧生活雑貨バザール』というポスターに惹かれ、ふらふらと入っていった阪急百貨店での出会いだった。いやでもさ、もう家具はいくつか買ったし、ソファは止めようって結論したばかりだったし、そもそもうちにはもう入んないし、催し物も今日までで、さすがに衝動買いするような大きさや金額じゃないでしょと一旦は引き返したんだよ。
 でもさ、下りのエレベータで「待てよ」と思って、マックシェイクで頭を冷やして一息ついてみたら、気付いたときにはもう配送日の打ち合わせをしてた。

 我ながら「すごいなー」と思ってしまった、1時間の衝動買い。

北欧ソファ

 さて。コイツを出品していた『ANTIKAとモダン』というお店は「基本的にオリジナルのまま」という理念のもと、汚れてても壊れてても破れててもほとんど修復らしい修復はしてません。そこはまた善し悪しだったりすると思う。ウレタンもヘタってない、ファブリックもシミ一つ無い、こんな状態だったら、今のしょぼこいファブリックに張り替えてしまうよりもずっと魅力がある。

ウェビングテープ
40年前のウェビングテープ。
生ゴムに近く、劣化して固くなってる。無理矢理折るとヒビが・・・。

 けどなー。このウェビングテープの状態は酷すぎる・・・。劣化してかぴかぴ。このまま使ってたら折れるよたぶん。こんな状態で「椅子」として売るのは家具屋としてどうかと思うぞ・・・って、そうか、家具屋じゃなくて古道具屋なのか。

 もちろんお願いすれば修復もしてくれるってことだったけど、自分も家具屋の端くれなので張り替えに挑戦してみることにしました。道具は商品部のお兄さんに借りて、やり方は取引先の張り屋のおっちゃんに教えてもらって。材料も分けてもらったりなんかして。

張り替え道具・材料
張り替え用具。
電動タッカーに、タッカーを抜くための千枚通しとニッパー。と、現代のウェビングテープ。
張り替え
右/タッカーは千枚通しで浮かせて、ニッパーでつまみテコの原理で抜くと速い。
左/3×5本張ってみた。張り屋さんチェックでは、前にもう1本あっても良かったって。

 最初は、しばらく元のまんまで使おうかとも思ったけど、道具をちゃんと揃えて、朝一で配送屋さんが運んでくれた勢いでそのまま作業したら昼前には終わってた。やっぱ段取りは大事だなー。

 愛着もひとしお。これからも大事に使おう。

目隠し
キルティングの「目隠し」がテープの上に張ってあるのも面白いなーと思った。

 衝動買いの種明かしをすると、決め手になったのはやっぱり、買わずに後悔するより、買って後悔してみようと思ったこと。

 アンティークは一期一会。一度買い逃したら同じものは二度と買うチャンスは無いのが基本ルールであり、似たようなものだって次に欲しいと思ったときに欲しいと思うものが手にはいるとは限らない。そして手に入れてしまえば、呪われたアイテムのように(笑)棄てられないから、それでいてとても力強いアイテムだから、自然とインテリア全体がそれを中心に発展するようになる。そんな核になるアイテムを据えてしまった方が、コーディネートは返って楽なんじゃないかと思います。

 それはあまりに強いアイテムだから、インテリアだけでなく、人生の核にすらなってしまいそうな気がするけど。


 余談。

 ところでこのテープの呼称。
 業界だと「ウェービングテープ」が主流なようだけど、これたぶん間違ってる。

 試しにgoogle先生に聞いてみたところ、

webbing tapeweb v. クモの巣を張る26,600件
weaving tapeweave v. 織る;編む1,970件
waving tapewave v. 波打つ;揺れる89件

 そもそもウェビングって言いにくいし、あまりメジャーなカタカナ語じゃないし、籐やペーパーコードで座を張り込む「座編み」ことをseat weavingというから、ウェビングなのかウィービングなのかごっちゃになったんじゃないかな。
#ちなみにテープやバネやウレタン仕込んで生地で張りぐるむいわゆる「イス張り」のことはupholstering(アプホルスタリング)といいます。そんな特殊な英単語の存在1つとっても、そもそも日本には椅子張りなんて技術は無かったという文化の違いががうかがい知れて面白いなーと思います。

 まぁ別に、改めて慣習を覆そうなんて言う気があるわけではないけど・・・。
 今度張り屋さんに聞いてみよう。

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