美の進化論-人間は恋をするために「美しい」を手に入れた動物である

2009.03.01  

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人はなぜ恋に落ちるのか? 人はなぜ恋に落ちるのか?
ヘレンフィッシャー

美の起源

 例えば南国のジャングルで暮らす極楽鳥たちの、ただ生きていくためには全く不要な、むしろ動きづらく、天敵にも見つかりやすくなる派手な飾り羽根。それでも淘汰されることなく進化したのは、天敵に捕まる危険よりも、メスに見初められる魅力が勝ったからだというのは良く言われるけど、そもそも、なんでメスは派手なオスを好むのか?オスがどんどん派手になっていくよう進化するには、メスがどんどん「派手なオスを好む」ように、その「評価能力」も進化していく必要がある。
 最初は「繁殖力の旺盛な元気なオス」や「見つけやすい色のオス」など、繁殖に有利なオスを見分けるために進化させる必要があった「評価能力」も、繁殖とは全然違う次元で「派手でパフォーマンス好きなオス」を選ぶように行きすぎてしまっている可能性だって十分考えられる。生存には不利なくらい派手に進化したオスの羽根のように。

 その自分の「評価」基準にばっちり当てはまる「ステキなオス」に出会ったとき、メスの鳥は何を思うんだろう。それは鳥に直接インタビューできる訳じゃないからわからないけど、これが人になるとすごくわかりやすい。自分の好みにばっちり当てはまるステキな女性に出会ったとき。「キレイだ」とか「ステキだ」とか、もしくはうっかり「美しい!」なんて思ってしまうかもしれない。

 そう。「美しい」ってこんなタイミングで出てくるんだよね。

 他にも「美しい」の出てくるシーンを考えてみると、それぞれ何らかの「生存や繁殖に有利な条件」と「特定のカタチやプロポーションや色彩」との緩やかな結びつきに気づく。
 豊かな色彩は実り豊かな土地を表し、見晴らしの良い景色はそこにとどまるとより安全な場所で、美しい女性はより健康な子供を産める整った身体をしている、とか。
 そして、そうした「特定の視覚パターン」を見つけたとき、個体がそこにとどまり、長く関わるように、脳はそれに喜びを見いだすように発達した。後に人はその喜びを「美しい」と名付けた・・・。 

人間は恋をするために進化した動物である

 という「美」の進化の話は僕が勝手に思いついただけで、この本のテーマは純粋に「恋愛」に関する科学的な客観的事実のお話で、僕みたいな頭の固い人には、なぜ人生はこんなにも苦悩に満ちあふれているのかという探して止まない問の答えがとてもわかりやすい言葉で書かれていて、とにかく面白い。

 感情や感性だけでなく、文明も文化もそれを生んだ知性も、人類を人類たらしめる最も固有の特徴が進化した理由は、人が「恋する」動物だったから。そんな考え方に出会って、今まで自分でも考えていたお堅い進化論の話なんて全部吹き飛んでしまった。口に出すにはちょっと恥ずかしいくらいロマンチック(笑)。
 ということは、太古の昔、原始生命が雄と雌に別れた時点で既に、今のような感性も知性も豊かな人類という種が誕生する可能性を秘めていたことになる。広い宇宙のどこかに、同じように雄と雌という繁殖システムを獲得した生命が誕生していたら、きっと僕たち人類のように知性だけでなく感性豊かに、愛を語り合う種に進化するに違いない。
 あるいは、よくSFに出てくる高度な地球外知的生命体は、コンピューターのように冷徹な知性の固まりのように描かれるけど、本当の高度な地球外知的生命体は、文字通り人類には想像も及ばないくらい感性豊かな文化を築き、愛に満ちた種に進化しているのかもしれない。


アンティークブローチ@北野天満宮の骨董市

 今年に入って、念願の一眼デビュー!

PENTAX *ist といっても、アナログだけど。これかな。実は母親のお下がりだったりするんだけど、意外と最近のモデルだし意外と値が張ってるし、案外カメラマニアだったのか、うちの母は。
 フィルムスキャンが思いの外キレイでちょっと楽しくなってきた。現像するのにカメラ屋に走り、スキャンするのに半日かかるのが玉に瑕だけど。良いんだ。現像しないと結果がわからないのがまた楽しいんだから。

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