家具の中に住む人たちの物語

2006.06.15  

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妹島和世『物語のある家』

 建築絵本シリーズ.建築家妹島和世が自身の住宅建築「梅林(うめばやし)の家」をたくさんの写真と語りかけるような優しい文章でわかりやすく解説.実際に生活をしているその姿を確認し,家族の素朴な願いを忠実に実現することだけが目的だったことを知って,現代建築の代表作品のように語られるこの家も,単にリアルな家族の姿が反映された結果に過ぎないんだなと実感しました.

 梅林の家は,全体はふつうの家とほとんど同じ大きさですから,部屋がたくさんあるぶん,ひとつひとつの部屋はすごく小さくなります.ひとつひとつの部屋は部屋というより,ほとんど家具の大きさです.(P.6)

 家具をやってる人間としては聞き逃せない一言.家具と雑貨の大きな違いは,家具はその物理的大きさから人間の動きを制限し,生活スタイルを決定するという機能があります.だから家具を考えるには空間と生活を考えなきゃならない.となると結局,家具も住宅も結局は同じアプローチで考えていくものなのかもしれない.要するに「建築はデカい家具」だと.もちろんそこには法規や行政という名の大きな壁はあるけども.

 過去に作品を見たり文章を読んだりした記憶がそうさせるのか,最近特に妹島和世を意識しなくても,つくる作品,デザインのほとんどが何となく妹島っぽかったり,後で妹島作品を調べたらそっくりなのがあったりして,これはきっと妹島和世に何かあるに違いないと勝手に確信して,妹島和世やSANAAに関連した作品集や書籍などの収集から始めて見ることにしました.概ね買っただけで満足してしまうんですけど...

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