無印良品/マイルドオイルクレンジング 高いメンズ化粧品を使う必要なんて全然無いと思うんだ。 |
「洗面所、借りる」
何かそれが大事なことでもあるかのようにかすみさんは断固として言うと、決然と立ち上がった。
「ああ、うん」
僕は先に立って、洗面所に案内した。鏡の前に立ち、かすみさんはそこにある僕の歯ブラシやら歯磨き粉やら電気かみそりやら整髪料やらを見回した。
「クレンジングは?」
「何?」と僕は聞き返した。
「クレンジング」とかすみさんは繰り返した。
「クレンジングっていうと、あれかな。女性が使うメイク落としのこと?」
「そう。どこ」
「あるわけないだろ?」と僕は言った。
酔っぱらった女性を自宅に連れ込んだすぐ後に交わされる平和的な日常会話。
僕が好きな作家さん本田孝好「真夜中の五分前」からのワンシーン。
もう何年前だったかな。
実は、この一節を読んでから、僕はずっと
自宅の洗面所にこっそり「クレンジング」を常備してました。
それを実際に使うようになったのは、それからしばらく経って、
化粧品会社に勤めるようになってから。
クレンジングってもちろん普通は「化粧落とし」のことで、
化粧をしないメンズには全く縁もゆかりもないもの、と考えられがち。
だけど、クレンジングは、正確には「油分落とし」。
普通の洗顔料は、汗や老廃物などの「水溶性」の汚れを落とすのが得意なのに対し、
クレンジングは、化粧品や皮脂などの「油溶性」の汚れを落とすのが得意。
つまり、普通の洗顔料じゃ皮脂汚れは十分落としきれないって事。
それがクレンジングを使ってみると、
ホントに驚くくらいさっぱりと洗い上がっちゃう。
いつも顔を覆っていた薄いベールがごっそり無くなって、
肌を指でなぞっても指に何もつかない。滑らない。
皮脂って思いの外、いつもしっかり肌に載ってたんだなぁと実感。
まだ試したことのないメンズ諸氏は、
一度騙されたと思ってやってみてもいいと思うよ。
ただ、いくら皮脂分泌の多いメンズとはいえ、このままだとホントに
必要なものまでごっそり落としちゃってる感が否めないので、
最低ローションを、できれば乳液でケアした方が良いんだけど。
こうして泥沼にはまっていくんだろうな。
#デザイナーの山中俊二がこの件に関してするどいつぶやきをしてました。
ある女性の「旦那にスキンケアは迷信だと疑われている」というつぶやきに対し、
「迷信じゃありません。立派な娯楽です」と。
うーん、ものすごく言い得てる、と思う。
ただ、長くなりそうなのでこの件に関してはまた別の機会に。
「クレンジングを使おう!」なんて言ったところで、
最近になってようやく化粧品各社が
「メンズもローションを使おう!」とか宣伝するようになってきたところなので
まだまだ時代の先端を行きすぎて、誰もついてこないかもしれないけど。
単純にニキビケアには有効な気がするから、むしろ中高生から攻めていったらいいのかも。
もうあと何年かしたらメンズクレンジングとか出てきて、
先の本田孝好のようなシーンが時代遅れになる日も来るのかもしれない。
そういえば最近見たアニメ「海月姫」でも、クレンジングの話題が出てきてたな。
女装が好きな「オシャレ人間」が、化粧をしないオタク女子の部屋に転がり込んで
「ねぇ、化粧落としは?」(超さわやか)
「あああ、あるわけないですよ!化粧なんてしませんからっ!」って...。
うーん。わざわざクレンジングを使わせて欲しいとは思わないけど、
さすがにクレンジングを持ってない女の子には引いてしまうかも。
せっかく女の子に生まれてきたんだったら、
「キレイ」になるための技術やアイテムがいっぱい用意されてるんだから、
それを利用して、めいっぱい自分らしい「キレイ」を追求して欲しいなぁ。
と、化粧品会社に勤めているお兄さんは思います。
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