お客様が大切だって言うけどさ そもそもどう思われてるか知ってるの?

2009.06.20  

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顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」 顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」
フレッド・ライクヘルド

 今日は話題を変えて、普段の仕事、マーケティング実務の話を少し。

 「顧客満足度(CS;Customer Satisfaction)」という言葉、聞いたことある人も多いと思う。企業も利益ばかりを追求していてはダメだ、お客さんの満足が得られなければ、いずれお客さんは離れていき中長期的な成長は望めない、という考え方で、平たく言えば「世の中お金だけじゃない」という価値観が、企業の活動目的になってきたってことだ。

 ただ表向きは「これからは顧客満足が大切だ」と言いながら裏では「世の中お金だけだ」と思ってる企業はたくさんある。だって彼らは、企業理念や事業目標こそは立派だが、その成果としては、「売上」とか「利益」とか「資産」とか「成長性」だとか、結局はお金しか見ていない。

Point.1 - 定期的、定量的、客観的に測定する

 お金しか見ないのは、彼らが拝金主義者だからじゃなくて、お金は極めて客観的で公平な判断基準だから。経済社会のほとんどあらゆるものやサービスは金額に換算できるから逆に金額の価値は誰にとっても等しく平等だし、企業を評価する基準として金額に換算する手法はほとんどあらゆる企業が行ってるから比較も簡単、便利。
 それに比べて、顧客満足度って何だ? そんな指標の測定方法は、会計の本にもファイナンシャルなんとかの本にも載ってない。帝国データバンクにも項目がない。金額と同じように、客観的で公平で、継続的に測定でき、だれにでもわかりやすい指標はなかなか見つからないし、見つけても普及、定着させにくい。

 この本で提唱されているNPS(Net Promoter Score;実効推進者指数)とは、そんな顧客満足度を数値化する方法論の1つで、顧客にアンケートを採って、推進者の割合から批判者の割合を引いたもの。最高 +100%から最低 -100%。
 しかも推進者を上位2割、批判者を下位6割としてるので、単に評価者の割合をとるよりもずっと厳しい結果になる。例えば「普通」と答えた人が半分いただけで-50%。要は「顧客満足度なんて満点で当たり前、満点以外は認めない」くらいの姿勢だ。
 「なんとなく満足って答えが多いかな」なんていう甘い認識でいると、一瞬で地獄にたたき落とされる。

顧客満足度調査アンケート

 うちでも最近、顧客満足度が大事だ!と末端の従業員にまでCS推進ビデオみたいなのを見せているが、そもそも、うちの今の顧客満足度がどのくらいか、正確に把握してる人は誰一人いなかった。良いのか悪いのかもわからないから、改善すべきなのかどうかもピンとこない。
 そこで、顧客アンケートを作成して、得意客300件くらいから得た回答からNPSを出してみたところ、驚愕の数値をたたき出して、そらまずい、なんとかせな、と急にわたわたし始めた。

 まずは数値化すること。その方法はいろいろあるけど、片っ端から試してみて、試行錯誤で自分のところに都合の良い方法を見つけること。いろんな方法はあるけど、このNPSはわかりやすくて覚えやすくて使いやすい優れた指標だと思う。

Point.2 - 最優先の事業目標とする

 例えば、あまり営業成績のふるわない営業さんがいたとする。その人はとても一生懸命仕事をしていて、いつも楽しそうで、お客さんとも仲が良い。けど、売上の取れないその人は、営業部全体の売り上げ目標からは足を引っ張る立場で、下手すると、一生懸命で楽しそうなのも、自分勝手で非協力的、効率が悪い、空回りばかりで学習能力がないとまで言われかねない。
 ところが、顧客満足度を個人別に集計したら、その人があらゆる項目でダントツでNo.1だった。

 さて、この人をどう評価したらいいんだろう。その方法に対する事例はまだまだ少ないが、大事なのは、売上ばかり見ていたら全く評価されなかったその人にとって、顧客満足度の数値化が、評価が見直されるきっかけになったということ。

 経営会議やなんかで「顧客満足度が大切だ」と言ってみたところで、その上層部の熱いかけ声に対するスタッフの反応は、苦笑いや嘲笑だったりすることがよくある。「なんだかんだいっても結局利益が大事なんでしょ」と。その原因は簡単だ。利益でしか評価しないからだ。「顧客満足度を向上するよう努力すれば、いずれ利益向上にもつながる」という考え方すら古い。それだって、最終的には「利益」しか見ていない。

 顧客満足度を測定し数値化することの最大の目的は、それを金額と同レベルの(あるいはそれ以上の)事業目標にすること。単なる改善の目安にとどめちゃダメ。
 「今期の事業目標は、利益前期比○%アップと、顧客満足度前年比○%アップとします」みたいに掲げる。で、利益○%アップした人にも、顧客満足度○%達成した人も、同額のボーナスで評価する。どちらを追求しても同様に評価されるから人それぞれ得意な方を攻められるし、人当たりのいい人が接客して信頼を得て、効率よく仕事する人が利益を確保するという良いチームワークも生まれるかもしれない。

感性を数値化する、次世代の経営分析

 と、ここまででマーケティングの専門書の取るに足らないささやかな応用事例の話を長々としてきたのは、ふと思いついたことがあって、この話は決して顧客満足度だけに終わる話じゃないなと。
 例えば、ある製品Aが、それと同等の機能しかない他の製品Bより高いのになぜかよく売れている。で、いろいろ考えた結果、「デザインが良いから」と結論されたりする。けど、「デザインの良さ」ってその製品の価値のどのくらいを占めてるの? AはBに対してどのくらい優れている? もしかしたらAは過小評価されていてもっと値段を上げても売れるかもしれない。けど、それを測定する客観的基準がない。

 ない?
 ホントにない?

 いや、もしかしたら、デザインや美的芸術的価値、情緒的価値といった感性を数値化する方法が、こういった手法の応用した先に、見つけられるかもしれない。


DISNEY&PIXER ウォーリー・ダンシングフィギュア
DISNEY&PIXER ウォーリー・ダンシングフィギュア
呼びかけると音に反応して踊ります。SO CUTE!!

正直バカにしてたけど、そのあまりのかわいさにやられました。

とは、amazonのカスタマーレビューで見つけた言葉だけど、まさにその通りでした。勢い余ってフィギュア買っちゃうとは思わなかったけど。フィギュアなんて何が楽しいんだ?!と今まで思っていたけど全面的にゴメンナサイ。ただ、その最初の選択にして我が家唯一のフィギュアが、アキラやエヴァやスーパーカーや戦闘機でもなく、逆にベルやウッディでもないこの絶妙な中途半端さが、とても自分らしいと思う。

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