卒制作品のためのお買い物シリーズ 「アルテミデ TOLOMEO PINZA」

2007.01.30  

このエントリーをはてなブックマークに追加  

Artemide Tolomeo Pinza (SHADEレンダリング)
TOLOMEO PINZA (SHADEレンダリングでのサイズボリューム確認)

 イタリアミラノに拠点を置くARTEMIDE社製クリップライト「TOLOMEO PINZA」.ミケーレデルッキによるデザイン.アルマイト塗装アルミニウムの軽快なシェード,そこから伸びる細くシャープなつまみ,それにワイヤーテンションアームがついたスタンドタイプが特に有名で,1986年の誕生以来世界中で売れ続けているロングセラー.PINZAはライトのヘッド部分をそのままに,大型クリップにくっつけてスポットライトにしたタイプです.

 なんでコイツが登場したかというと,実は今度の卒業製作で作っているライティングビューロー(みたいな何か)に使える照明器具を,何か既製品で似合うものをと探していて,行き着いたのがこれだったからです.
 ライティングビューローっていう条件は意外と厳しくて,まず,一般サイズのスタンド照明ではフタが閉まらない.畳めば入る,あるいは最初から小さいコンパクトタイプを選んだとしても,フタを開けば普通の大きなワークデスクのサイズになるので,コンパクトタイプはバランス的に小さすぎてどうしても貧乏くさくなってしまう.(外形寸法じゃなくてそのものから受ける印象としての)ボリュームは普通に大きく,でも実際のスケールはコンパクトな照明という条件に,もともと大きなスタンド照明に使っているヘッドをそのまま流用してる,クリップ照明というにはあまりにも巨大なTOLOMEO PINZAがピタリとはまったのが1つ.

 もう1つは,実はこっちのほうが大事なんだけど,卒制作品の「品格」とでもいうべきもの,それに見合う「品格」を備えたものであるかということ.
 何でもかんでも高級品を添えれば大したことないものも立派に見える,なんてことはありません.それは昔から言うように,まさに「猫に小判」.だけど逆に,あまりにお粗末なものを添えると本来は立派なものもお粗末に見えてしまうことはよくあります.

無印良品 パイン材デスクセット

 例えば,無印良品の製品は「あらゆるものの陰に隠れそれ自身が主張しないこと」をコンセプトにしているので,それを置いて作品の品を台なしにすることは無いけど,作品を引き立てるようなことも一切無いわけです.また別の見方をすれば,無印良品のアルミライトは,同じ無印良品のパイン材デスクのようなものと組み合わせるときにその魅力が極大になるようデザインされている.つまりその製品の持つ「品格」はそのくらいだということです.

 自分の作品の,実際の「品格」がどのくらいなのかは未知数です.が,単純に考えても,安い材ではなく木目の美しいホワイトアッシュ材を多用して,他にもそれに見合う素材や材料を厳選して作り上げるそれは,コンビニ弁当でもなければ居酒屋チェーンでもなく,料亭やオーナーズレストランくらいの「品格」は備えるべき気質を備えています.現実に市場に出せば,量産しても20~30万円くらいの値段になるものです.それに添える照明機器が無印良品ではあまりにも「作品」に対して申し訳ありません.

Artemide Tolomeo Pinza (SHADEレンダリング)
TOLOMEO PINZA (Panasonic DMC-FZ20 で撮影/自宅/昼)

 惚れ惚れするというか,見てて飽きないっていうのは,こういうもののことを指すんだとつくづく実感します.特に際立って装飾的なデザインが施されているわけではない,モダニズムの洗礼を十分に受けた,いわゆる「シンプル」な部類に入るデザインなのにも関わらず.無印のアルミシェードライトじゃ,絶対にこんな「迫力」は無いと思います.

 余談ですが,今回,最終的にコイツの購入を決断したのは,ヤマギワリビナ名古屋店に現物を見に行ったときです.
 最近の経験で学んだんですが,写真は何も伝えません.一番大事な情報がいつも大きく欠落してしまっています.写真じゃカッコイイのに現物は大したことがないと感じたら,それは現実の自分の目を100%信じなければいけないのに,ずっと写真の幻影が払拭できずにいたのは今のメディア社会に毒されていた証だと今は思います.
 この現物を見て思ったことは,この製品は高い,高いけど,確かに高そうな面をしている.「オレは高いんだ.そこらの安もんと一緒にするな」とすごんでくる.こんな「ものを言うモノ」に出会えたこと自体がすでにひとつの喜びでした.絶対にコイツは連れて帰らなきゃいけない!

 そうして値段に見合う価値が十分に確認できたなら,後はその値段が出せるかどうかの問題しか残りません.決して数百万円の買い物をしようというんじゃないんです.無一文だったとしても,3日も必死こいてバイトすれば捻出できる程度の金額です.もし仮にこれが数百万円の値段で逆立ちしても出せないようだったら,僕は買いません.それは代替品も含めて一切の類似品を買わないで我慢する意味です.代替品じゃ満足できないことはもう十分検討済みです.それに類似品がなくたって生きていくには困りません.こういう姿勢が,妥協しない買い物の秘訣だと思います.

 僕たちのお見合いはうまく事が運び,こうして我が家の一員になりました.


ワイヤーフレーム

 ちなみに,おおよその大きさを掴む程度のモデリングだったら外形寸法と写真があれば十分だけど,ことアルテミデの照明においては,簡単な意匠図面が閲覧できるサイトがあるので,今回はそちらを参考にさせていただきました.

 ていうかこのサイトすごいなー.
 内装素材とか,インテリアレンダラーにとってはウハウハなデータ満載ですよ.


 関係ないけど,最近,個人のブログでもかなりオーバークオリティな写真が見られるようになったのは,デジタル一眼が普及してる証かと思ってたけど,実はレタッチソフトの機能が強化されてきたからかもしれないと,デジタル一眼が買えないのでチマチマと「それっぽい絵」を作っていて思いましたとさ.

SHARE THIS ARTICLE

  • ブログランキング・にほんブログ村へ

COMMENT AND SHARE

COMMENT

POST A COMMENT

TRACKBACK PINGS

TRACKBACK URL:

http://www.k-en.net/blog3/mt-tb.cgi/4