光の魔術師:インゴマウラー展 東京オペラシティアートギャラリー 9/18(月)まで |
白い羽を纏って天使のように羽ばたく電球,ハート型のミラーでハート型の光を描くハート型のシェード,2本の細いワイヤーの間にランダムに配置されたハロゲン球のヤジロベー,空間に浮かぶ無数の紙切れが光をやわらかく拡散するシャンデリア.
もはや世界中のどこを探しても居並ぶもののいない究極の照明デザイナー,インゴマウラーの作品展がオペラシティで開催されていたので足を運んできました.
照明器具ももはや一種の彫刻作品であり,その光の作品はリアルな体験でしか正確に認識されない.そういう意味でも,これだけまとめてインゴマウラー作品が「体験」できたのはたいへん貴重な機会だったと思います.
L'Eclat Joyeux (2005) 中国旅行で買い付けた陶器を使った, Porca Miseria(1994)の特別バージョン |
爆破されたレストランを連想する「ポルカミゼリア」は,インゴマウラー自身が叩き割った食器をステンレスロッドに貼り付けて,ランプシェードに仕立てたという驚異的作品.その名も,イタリアでの展示会でお客さんが「なんてこった!」と叫んだのをそのまま拝借したのだとか.
ディテールに目を向けても,無作為に叩き割られたはずの陶器はそのエッジをきちんと丸め落とし,直径3cmくらいのプレートで陶器と接着,ロッドと溶接されて,電球の周りのメッシュに無造作に差し込まれているだけ.ロッドは取り外しができるみたいだけど,当然輸送時にはばらして運ぶってことだよな.いやまてよ,てことはこの感性の結晶的配置を素人の購入者に任せることになっちゃうから,詳細なマニュアルが付属するのか,あるいはそのまんまパックして輸送したりするのかも.だってポルシェが買えちゃう値段ですからね.あり得ないくらい手の込んだ職人の手作業も,あり得ないくらい厳重且つ無駄の多い梱包も,むしろやってもらわなきゃ納得いきません.
そう,インゴマウラーはデザイナーであってアーティストではないんですよね.だから彼はデザイン事務所だけでなく工場も自身で運営し,量産,販売,配送までを管理することで初めて,その「あり得ないデザイン」を現実世界に流通させることに成功しています.
Holonzki (2000) ホログラムによって実在しない電球が浮かび上がる 何も無い空間を見つめる人を観察するのも楽しい |
余談ですが.コウノトリの脚をモチーフにした作品「ビビビビ」の展示でミステリーが1つ.点灯する電球から伸びるケーブルのその先....ん? プラグがコンセントにささってない?!
不思議そうに見つめていたら学芸員さんが種明かししてくれましたが.なかなか粋なジョークでした.他にもこんな小技が隠されてたりするのかな.
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