魔女に死に方を教えられたり,巨人とともに街を出たり,愛する人のためにサーカスで働いたり,息子誕生の日に巨大な魚と格闘したりと,どう考えても嘘くさい過去しか語らない父親をずっと信頼できずにいた息子が,父の最期にその真実を知ろうとする.
印象的だったのは「平凡で面白くない真実と,エキサイティングな作り話とどっちがいい?」というようなセリフ.大切なのは「真実」なんだろうか.たとえ今まで歩んできた人生が平凡であっても,それをただ「平凡な真実」として語る(ていうかそもそも語ることがない)人は魅力的だろうか.どっちがより,エキサイティングな人生だといえるだろうか.
いや,そんなのどっちだろうと,そもそも全く会話なくお互い知り合えないままでいるどこかの親子を思えば遥かに理想的な関係なんじゃなかろうか.親と子ではなくて,人生を受け継ぐべき人間としての関係を,これから築いていけたらいいなぁと.
「ウォルター少年と夏の休日」と「みなさん、さようなら」をミックスしてファンタジックなスパイスをてんこ盛りにしたような作品.おとぎ話パートが冗長なので飽きる可能性は否定できないけど,親子の愛,お別れという意味での当たり前の死について考えをめぐらせながら,ほのかに心温まるにはいい映画かと思います.
TRACKBACK URL:
http://www.k-en.net/blog3/mt-tb.cgi/4
Except where otherwise noted, content on this site is licensed under a Creative Commons Attribution 3.0 License.
Copyright© 1996-2010 KENZWEB - SENSE THE LIFE CO., LTD. SOME RIGHTS RESERVED.
COMMENT
POST A COMMENT