2005.05.26  

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左市秀 平鉋 二万四千円也 ようやく鉋の仕込みが終盤にさしかかりました(「終わりました」とは言えない).
 試しにサクサク削ってみると,仕上がり面は指で撫でるときゅっきゅっと音がしそうなくらいツルツルに仕上がります.サンダーだったら1000番くらいでものすごく時間をかけないと辿り着けないクオリティに,ほんの一瞬で到達です.そうか,これが「鉋の役割」だったのか.

 家具作りでは,許容誤差は0.3mmと言われます.シャープペンの芯1本未満.もちろん接合部などが0.3mm空いていたらものすごく大きな隙間に見えるので,場所によってはもっと高い精度が求められます.
 そんな精度を生む為の手工具の中で,最も高精度な道具が鉋です.仕上鉋の鉋屑の厚みは0.03mmです.新聞紙の厚みが0.1mm.髪の毛の太さが0.06~0.12mm.それはもう鰹節顔負けのひらひらしおしおで,かつて木だったものとは思えません.屑が,つまり刃が出てる量が0.03mmであるならば,刃先の歪み,台の底面(下端面)の凹凸は全部0.03mm未満に抑えないといけません(実際はもっと抑えないとダメ.下端は特に).それはもう文字通りミクロの世界です.確かに30µmとマイクロ単位で書いた方がゼロが少ないし.そんなミクロの領域に,目と,指先の感覚だけで挑んでいく.目で確認し,手で直す.それが木工職人の世界です.

0.05mmに挑戦(クリックで拡大)

 ふと思いついたので,ノギスで0.05mmの隙間を作ってみました.カメラでも普通に見えちゃってます.それほど,小さいようで大きいのがミクロの世界の隙間です.

 今度木製家具を見る機会がありましたら,椅子の脚,引出の蟻組,フレームの留め(45度接合)等をよ~く見てみてください.微妙に隙間が空いてたり,隙間を埋めた跡が見受けられたら,その木工家はまだまだ未熟ってことのようです.

※気分的な問題かもしれませんが,サンダーは表面の木繊維をぼろぼろに破壊するのに対し,鉋は木繊維をキレイに剥がし取るという大きな違いがあります.仕上鉋かけた面にはサンダーは当てたくないなぁ.

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COMMENTS

え、K-ENさんレイ・ハラカミ氏のファンですか???
いいよね~。氏の音楽。この前まで某日立のCMでおもいっきり聞けてたんだけど…。

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AUTHOR: K-EN
EMAIL: k-en@kdn.ne.jp
IP: 219.114.92.92
URL: http://www.k-en.net/cgi/mail.html
DATE: 05/28/2005 12:40:14 AM
以前J-WAVEで矢野顕子さんが番組で紹介してて,
聴いた瞬間にamazonで衝動買いしたという曰く付きアーティストさんです.

そうか,J-WAVE聴いてるんだから当然知ってますよね~.
最近,ラジオ聴けなくなって,音楽情報が全然入ってこず.
浦島状態なのは,即ち金を使わなくて済むから良いのかもしれないけども...

こちらではお久しぶり~。
買っちゃいました。ちょっと社会人パワー炸裂です。

私も買ってしまいました、HMVにふらっと寄ったらつい
病気です

くそぅ.
いいんだ.金の使い方の反省期間だと思うから.
世間一般からすれば(ていうか君等と比較しても)かなり細々と使っていたはずなのに,
何であんなあり得ない金の使い方が出来たんだろうと,今はそう思います.

今は,今までの財産を,友達と交換&共有しあって食いつないでいくしか無いという結論に達しました.
最新情報なんて要りません.

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