2007.12.09  

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『PEACE BED』(2007年アメリカ) PEACE BED アメリカvsジョンレノン (2007年アメリカ)
デイビッド・リーフ ジョン・シャインフェルド 製作・監督・脚本

 なぜ今更、ジョンレノンなのか。
 それが公開を聞いたとき、最初に頭によぎったことだ。

 「あなたが望めば、戦争は終わる。」
 「平和」への願いを歌に託しメディアを通じて多くの人の心へ届けていった。日夜報道されるベトナム戦争の無惨さに痛む人々の心、抱く平和への小さな願い、1人1人に宿るだけではあまりにも弱く儚いその想いを、1人自分の身に集め巨大な力となって人々を「平和」へと先導した。
 が、ジョンレノン亡き後も戦争は起こり続けている。湾岸戦争、9.11、イラク戦争。そのどれもが、もはや「過去のできごと」だ。そして、今思い返してみればそのどれもに対し、ジョンレノンの如きカリスマの登場やそれを彷彿とさせるような象徴的イベントで、「平和」を願う声が世界に届けられていただろうか。少なくとも僕にはそれが思い当たらなかった。
 「ジョンレノンを殺そうと思っても殺せなかった。なぜなら彼のメッセージが生き続けているから」とヨーコが作中で語っていたが、その「メッセージ」は本当に今を生きる人々の中に「生き」ていたのだろうか。ならばなぜ、9.11やイラク戦争のさなかに彼は「復活」しなかったのか。

 結局あなたたち現代を生きる人々の中には、ジョンのように自分を犠牲にしてまで世界の平和を先導していけるカリスマもいないし、それを望む、その声を受け入れ共感し支援しようとする人々もいない、平和を願うことへの現実感に欠け、興味を失ってしまっているんじゃないかしら。

 ヨーコは決してそんなことは思っていないだろうが、このタイミングのこの映画は、そんなことを語りかけてきたように思う。
 今はただの「記録」でしかないかもしれない。けど、ドキュメンタリーはこの先も生き続ける。もしこの先、同じように平和を脅かすことが起きたとき、そのときこそジョンは復活を遂げ、僕たちを平和へ先導してくれるだろう。


 一つ確かなことは、彼の「声」は、かつてキリストが発した、いやキリストだけでなく有史以来のあらゆる人が、強いては「神」が発してきたあらゆる「メッセージ」よりも、遙かに早く広く伝わったということだ。それがメディア技術の発達にもよるかもしれないし、それ以前の誰も超えられなかった「超人」が登場するのかもしれないが、そのスピードや密度は、これから先もっともっと早く、深くなっていくはずだ。
 そして、地球は有限だ。いつかきっと、平和を願う想いが本当に全ての人に深く浸透すれば、平和な世界は実現するのかもしれない。その可能性を諦める理由はない。いや、一人でも諦めてしまっては実現しない。望めば、世界は変えられる。

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