2006.06.03  

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 何故か図書館の雑誌コーナーに置いてあったSTUDIO VOICEを読んでいたら,何となく新譜が欲しくなっていくつか手に入れてきたので,折角なのでご紹介.
 ラウンジじゃ軽すぎる.ブレイクビーツじゃ堅すぎる.もっとこう,どっぷりと楽曲の世界に浸透していくことができて,ここではないどこか美しい世界を垣間見ることができるような,そんな音楽が聴きたい.という想いと共に探した音楽です.

The Art Of Noise 『Seduction of Claude Debussy-ドビュッシーの誘惑』

 結局,行き着く先はドラムンベース.ミニマルなビートの中にこそ一段と光り輝く「音色」が美しいドラムンベース.単にミニマルなだけじゃない.また力強いだけでもない.今にも壊れそうな儚げな音色を荒々しいベースに載せていくその繊細さ.そういう音楽に僕は強く惹かれるらしい.Art Of Noiseのその音は,とにかく最初から最後まで,煌びやかで美しい.
 僕が初めて買ったCDがFinal Fantasy VI OSTである事実が示すように,僕の音楽原初体験はゲームミュージックであり,例に漏れず古代とかズンタタとか川井憲次下村陽子をむさぼるように聴いていた僕にとっての,それはむしろ原点回帰.

The Cimenatic Orchestra 『Man With a Movie Camera』

 ジャズクロスオーバー.ストリングスの音からROVOを連想するけど,エレクトロニカに弦楽器を織り交ぜたROVOと違って,交響楽器をエレクトロニカへ解体再構築した方向で,意味を剥奪されたミニマムなループからはむしろASA CHAN&巡礼を連想する.どんな音楽に使用されようとも,アコースティックな楽器の情報量の多さは歪んだ電子音の比ではなく,それが聞き流すクラブミュージックとは一線を画す「聴かせる」音楽たる所以かも.

DJ KRUSH 『寂-JAKU』

 基本的には最初に否定したビートの重いヒップホップ.けど,冒頭での尺八プレーヤーをフィーチャーしたドラムンベースに一発KO.少し重めなくらいでいいじゃないの.そういう気分の時もある.尺八がでてくるからと言うわけではないけど,全体的に「和」のテイストも散りばめられ(無理矢理ねじ込まれと言う方が正しいかも),それがUS一辺倒の上からものを言うようなヒップホップとは違うラディカルさが感じられて面白い.
 いろんな音を少しだけ変則的なビートに載せてつくる世界がDJ Spookyに近いと思ったけど,実際交友があったりするみたい.

エゴラッピン 『On The Rocks!』

 我ながらステキなくらい流行とはかけ離れた世界をひた走ってばかりでもアレなので,先月発売されたことを今日知ったエゴラッピンの新譜を最後にご紹介.
 以前の昭和歌謡とも,前作のエクスペリメンタルな感じとも違って,ずいぶん明るくノリよくポップになったみたい.のんびりしたい休日の日中に最高に気持ちよさそうな今作と,ゆっくりしたい夜の定番だった前作とで,エゴラッピン漬けな一日を幸せいっぱいな気分で過ごせそう.


 こんな音楽を聴きながら,キッチンでメレンゲを立てている自分の姿を客観的に見て,そりゃ確かに,こんな偏屈な自分の趣味を全部共有できる他人なんて,存在しなかったとしてもむしろ当たり前だよなぁと思った連休前のまったりとした夜更け.

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