2005.06.18  

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デザインプロセス チャート

 もののデザインを考えると言うことは,芸術のようにものの美しさ,存在意味を追求していくだけでなく,工学のようにそれを作る能力を開拓していくだけでなく,経営,経済学のように社会のニーズを調査分析するだけでなく,実はそれら全てを同時に考えなければいけないということを,上図は極めて簡潔に表しています.

 その3要素をざっくり小さく考えたとき,それは「ものを作るための技術(製作可能かどうか)」「そのものが使われる環境」「そのものが満たすべき機能」であり,それらのバランスの元にデザインを考えていくのが一番簡単なプロセスになります.
 けど,「技術」をもっとツッコんで考えると,それは実現可能かどうかの枠を超え,どうすれば,どんなかたちがもっと効率よく大量に生産できるかという「生産性」も考えなくてはならないし,それはものの「コスト(価格)」に直結していきます.「環境」も結局は使う人,その社会を想定する訳で,そうなると「時代やトレンド」を分析し,社会のニーズにピタリとはまるもの,社会のニーズを掘り起こすものを考えなくてはなりません.「コスト」はニーズを刺激する大きな材料にもなっています.
 そして「機能」の先にあるのが「美」です.これはより深いという意味ではなく,デザインにおいては,まず満たすべき「機能」が「美」よりも先に来るべきと言う考えに基づいています.「機能」とは関係ない「美」は極力省くべきだし,美しければ役に立たないものを作っても良いと言うことにもなりません.そしてその「美」の材料となるのが「材質」です.木であれば木の,金属であれば金属の,それぞれの利点を最大限に活かし,「美」と「機能」を満たす造形を考えます.
 説明が最後になりましたが,「社会」に求められている「機能」を考えると言うことが,つまりそのものの「目的」になっています.

 デザインは「応用芸術」と言われるように,分野としては芸術に属します.でもデザインのプロセスというのは決して「美の追究」だけで終わるものではなく,そこで培われた「美」が「生産性」あるいは「社会性」という全く異なる土壌に置かれても生き残ることができるかどうかを見届け,デザインを鍛え上げていかなければいけません.
 要するに,デザインプロセスというのは,いろんな立場から客観的に「良いもの」を評価し,ひたすらに作り込んでいく作業だと言うことです.

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