2004.11.30  

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『シンドラーのリスト』(1993年アメリカ)

 ポーランドのユダヤ人強制収容所の人間を使い軍需製品を製造することで財をなそうと考えたドイツの実業家オスカーシンドラーが,なりゆきでユダヤ人らの命を救い,彼らから思いもしない感謝を送られているうちに,最終的には成した財をすべてなげうって多くのユダヤ人をアウシュビッツ送りから救うことになった一連の物語.

 ところで,何か事業を起こすと言うことは,そこで雇われる従業員全てを幸せにする義務が発生するんじゃないかと思います.今の社会では,個人でも「食うために稼ぐ」必要が確かにあるけど,食うためだけではない別の幸せを求める権利もあるように,企業(事業)にも金儲け以外の何かがあってしかるべきだと思います.別に「世の中全ての人を幸せに」などとは言いません.人間は元来利己的です.でも利己的だからこそ,自分の手が届く限りの局所的なグループ(恋人であり,家族であり,友人であり,同様に同僚,部下,従業員等)だけの幸せを追求することはごく自然なことだし,そこには何の罪もないと思います.
 この世界は原理的に不平等で不公平であって,同じように強制収容されたユダヤ人であってもシンドラー氏が救えた人はたまたま彼の目にとまった極一部の人でしか無かったことによる不公平は避けられないけど,だけどここで大事なのは,自分の利益以外の何かを求めた男が存在したことと,その彼によって救われた命が今も脈々と息づいているという事実です.

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