2004.10.14  

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『DOGVILLE』(2003年フランス)

 手法の斬新さは開始5分で慣れるからご心配なく.これは映画じゃない.舞台...でもない.小説(朗読)のようでもあり,ラジオドラマみたいだという人もいる.
 用意されたのは,一目で,カメラ1台のアングルで,文字通り村のすべて,地形,建物,街路だけでなく,建物内部の様子,そこで生活するすべての人間,その行動までもがホントにすべてが筒抜けになっている舞台セット.唯一見えないのはそこで蠢く人間の,生皮で覆われたその奥に渦巻く醜く濁った心のみ.役者には真の意味での演技力を要求し,観客には真の意味での読解力を要求する.あらゆる意味で映画表現の常識に挑戦した実験的作品.
 人口20人前後の地理的にも社会的にも隔絶された小さな村.その村に,ギャングから追われて逃げ込むように,一人の美女が訪れる.最初は村の人に気に入られるためだった.けど,後がない彼女にとって,それが村人への絶対服従に変わるのに時間はかからなかった.そして,監視機能が働かず秒速で崩壊する村のモラル.皮肉にも「犬村」と名付けられたその村で,犬になったのは彼女自身ということか.


 ダンサーインザダークのラースフォントリアー監督.とりあえず,ネットで同志を募って集団自殺したいと考えてる人に特にオススメ.

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