2004.07.22  

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『スチームボーイ』(2004年日本)

 新時代のナディアでありラピュタでありナウシカでもあり,もちろんアキラでもあり,近いところではメトロポリスを思い出しました.そう,破壊です.破壊のカタルシス.結局スチーム城は何のために作ったんだろうという謎に突き当たったけど,つまり盛大に破壊したかったんですよね.えぇ,その点においては120点満点で大成功だと思います.なんかいろいろ難しいことを考えようとしてたけど,クライマックスに来てすべて忘れさせてくれました.すげー.クオリティ高すぎる.りんたろうは所詮下っ端で本家大友は超えられないって事か.

 何か巨大な構築物(破壊兵器的な負の遺産)が出現して,それが自滅的に破壊されて終わりという話.これって日本のアニメ特有のものでしょうかね.他であんまり思い当たりません.海外作品になるとどれも主人公達の努力によって積極的に破壊してるイメージがあるし,日本のそれはパワーを持て余した末の自滅みたいな暗いイメージがつきまとうのもなにか関係があるのかも.
 そのへんからしても,武器商人が商品デモで戦争をしかけたりとか,味方っぽい人も結局敵だったりとか,じぃちゃんがやけに元気だったりとか,「面白いアニメ」としての王道をひたすら突き進んだような物語で,わかりやすくて良くできてると思いました(やや大げさに動きまくるキャラも外人アニメの日本人解釈的でナイス).

 ただ,良く出来過ぎていて,一般受けはしにくいかも.某駿氏みたいに恥ずかしげもなく女子供に媚びまくる要素が足りないような感じです.やっぱりスカーレットのキャラを活かしきれてないのが致命的かな.恋愛に発展するのか良き友情で結ばれるのか,そこだけははっきりさせてください(あ,むしろ恋人は実家にいたあの子か).おてんば(死語?)ぶりをもっと発揮できれば女児にも受けが良くなるだろうし.
 というわけでナディアやラピュタにあって,このスチームボーイに大きく欠けているもの.それから推測できることは,大友氏は,子供達にはこの映画を通して科学の面白さや夢見ることだけを学んで欲しいと,その道を目指すと何故か周りに自然発生的に表れる道を踏み外したような人にはなって欲しくないと,切に願っていると言うことでしょうか.
 つまり,構成要素の98%がメカと戦争という,男臭さ丸出しの作品な訳なので,全国の小中学生の男の子は,これを観て男に目覚めなさいというのが今日の結論です.感想文は原稿用紙5枚で.

 この作品は当たり前のように続編が決定してますが(また8年とかかけたら刺しますよ),むしろテレビシリーズにならないことが不思議です.2クールくらい余裕で行けそうです.鉄腕アトムの枠を奪ってください.

 というわけで,城も動いたし,ハウルはまたも観る必要なし,と.

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