2004.07.14  

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――ナイキのビッグオファーを蹴った話が有名ですが.
「簡単なロゴ作成で,数千万ポンドくれるって言うんだぜ? 狂った世界だと思って,即座に断ったよ.」

 コイツ,一体ナニモノ?!
 上は,STUDIO VOICE 8月号のインタビュー記事からの抜粋.読んだ瞬間,普通に超ショッキング.相田みつをにさえ「あったほうがいいなぁ」と言わしめたその大金を断るなんてバカかコイツ? いや,それより数千万ポンドを蹴ってまで他にやりたい仕事があったのか.少なくとも,彼にとっては数千万ポンドの価値が色褪せてしまうほど,より価値のあるものを,彼の人生の中に見出しているってことじゃないか? だとすれば,それは一体なんなんだ?! と,それはもうあっという間に彼のその魅力に吸い込まれていきました.

 バンクシー.ロンドンで,夜な夜な人目を忍んで公共施設にメッセージ性の強い「落書き」を描きまくるグラフィティアーティスト.さらにそのステンシルという独自手法の「落書き」の量産にとどまらず,自然史博物館に死んだねずみの剥製をこっそり展示してきたり,テートモダンの名画に立入禁止テープを貼り付けてきたりと,犯罪まがいのゲリラアートも展開.そんなわけで警察からも睨まれててメディア露出もほぼゼロで,でもBLURのCDジャケットとかそれなりの仕事もしてたりとか,テレビでの権利侵害の賠償をそっくり慈善団体に寄付しちゃったりとか,現金よりも将来よりも今を楽しく幸せに生きることが一番大切!っていう,とにかくよくわかんないけど,やることなすこと,ほとんど理解不能なぎりぎりのところで,独自の信念が強く明確に通ってる感じがすごくとてつもなくカッコイイじゃないですかコイツ.

 僕がアート,というよりもアートやってるアーティストが好きな理由はまさにコレ.アーティストの本来の姿って,ホントに自分が創りたいものだけを創る人.時代だとか,世間だとかに求められてとか,求めているだろうものを先回りしてとか,そういう需要供給の経済的なものを一切考えないで,自分の好きなように生きて,自分の創作意欲の赴くままに制作活動,表現活動をする.そこがアーティストと,デザイナー,イラストレーターとの大きな違いじゃないでしょうか.
 僕は(職業的な意味での)アーティストになろうとは微塵にも思わないけど,でも,自分の欲しいものを好きなように作って,それで適当に食っていけたらそれほど幸せなことはないだろうなぁと,その信念というか,精神的な面では,「自分」を大切にするアーティストとしての生き方を常に心がけていたいなぁと思います.

 あぁ,またロンドン行きたくなってきた...

#イギリスのファッションブランド GRIFFINと雰囲気が良く似てるなぁとおもったけど,既にコラボ済みでした.やっぱり.

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