下妻物語 (2004年日本) 中島哲也 監督 / 深田恭子 土屋アンナ |
乙女のバイブルと世間を騒がしている嶽元野ばら氏の小説が,もはや当たり前のように映画になりました.
時は21世紀,ところは茨城県下妻市.そんな田舎の田んぼ道の上に物凄く強烈な不協和音を放つフリフリロリータ少女と,そんな田舎にもはや自然発生的に生息する典型的ヤンキー少女の,有り得ないはずの奇妙な友情劇をハイテンポなコメディ調で驀進する青春パンクムービー.
僕の中で嶽元野ばらと言えば当然「コルセット」や「世界の終わりという名の雑貨店」のイメージになるので,最初にこの映画の予告を観たときには,ずいぶん雰囲気が違うなぁと思いました.ロリータとヤンキーの友情でコメディ.ノリノリでバカ明るいヤング映画.→どうねじ曲げてもR指定にならない訳がない「コルセット」系である訳がない.そんな映画で野ばらさんらしさが出る訳が無いじゃないか! と思ったんですが.
ごめんなさい.完璧です.最初から最後まで,隅から隅まで野ばらさんです.確かに監督の機転でよりバカらしくノリノリに仕上げてる部分もあるんですけど,それらも野ばらさんへのリスペクトを全然忘れてないし,こんなノリの映画なのに「少女が一番ハードボイルド」と公言する野ばら哲学,ロリータ哲学,乙女哲学がしっかりと活きています.
僕が例えば時間を巻き戻すことが出来て中学生の自分に会うことが出来たら,何はなくともこの映画を観せてやりたいですね.「独りでも良い」「独りは強い」って言葉にすると簡単なことに思うんですが,これが本当に心の底から実現できてる中高生ってホントに希なんじゃないかと思います.少なくとも自分は中途半端でした.
ヤンキーもロリータも,自分が決めた自分の法律にだけ従い,他人の力を必要としない孤高の存在.究極のハードボイルド.弱き者にも生きる術があることを説く野ばらさん.彼の著書が「バイブル」と呼ばれる所以が今確かに理解できました.
まぁそんなトラウマを抱えた人じゃなくても,ロリータラブな人じゃなくても,フカキョンラブな人じゃなくても,はなわの「佐賀県」のノリで田舎やヤンキーやジャスコを笑いまくるコメディとしても一級品なので,もっと広く一般にオススメです.若い感性をお持ちの方は,とりあえず引かないで,騙されたと思って観てやってください.土屋アンナのロリータも一見の価値ありですよ!
#野ばらさんモードも,フカキョンが朗読するとあぁなるのか...
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