エリヤ・バラード

  物語の主人公.2093年生.15歳→19歳.南米最大の麻薬カルテルのボスの息子だが,その肩書きが霞んで見えないほどに,正義感が強くて臆病.
 自分のやっていること(父エンノイアのやっていること)が悪いことだとは自覚しているが,そういう環境に生まれたこともまた宿命だと感じ,その立場から,世の中を少しでも良くするためにできることを常に探している.

 

マナ・バラード

 エリヤの妹.2096年生.12歳→16歳.4年間を原父による軟禁状態で過ごしている.オーストラリアメルボルンにいると思われる.体内に逃走防止用のナノマシンを仕込まれているために,高校に通ったり,マーヤと動物園デートをしたりと,ある程度の自由は認められているようだ.

 

ジナ・バラード

 エリヤの姉.推定2087年生.
 大学在学中,エンリケ・ルイスにレイプされそうになったところを,ミゲルに助けられて以来,彼と深い関係を持つようになる.「今の暮らしが何を意味しているのか」を知り自分に出来ることを模索する中,恐らくミゲルに妹の話を聞かされ,妄信的に彼に協力する事(彼と共に新しい人生をスタートさせる事)を決意したのだろう.彼が組織の金を横領すると,彼女は彼を匿い,同じ大学の仲間に送金を依頼し,彼と共に逃走する計画を立てた.だが計画は失敗,ミゲルは射殺された.心の拠り所だったミゲルを失い,情け容赦の無い父を恨む反抗心から,やがてヘロインに溺れるようになる.
 自暴自棄になっていたため,クリニックでの治療は思わしくなかった.だが,誰にも理解してもらえないと思っていたミゲルへの想いを理解してくれたシスターに心を開くようになり,ミゲルの妹と出会いもあり,彼女の心は少しずつ癒えていく.

 “一生に一度の恋”にもいずれ“二度目”がやって「来てしまう」ものよ.大切なのはその時に,あなたにそれを受け入れる準備が出来ているかどうかよ.

 神父様はこう言ったの「...彼を愛した者全員が彼を失ったかわりに何かを得ているんだよ」って.ジナ,きっとあなたも何かを得たのね.

 失われてしまったものの瓦礫の前で嘆き,悲しみ,その原因を恨み憎み続けるのではなく,その瓦礫の中からそれでもまだ光り輝く欠片を,自分が大切にすべき,自分を大切に想ってくれるものを,彼女はそこで見つけることができたのだろう.
 麻薬に打ち勝ち,シスターのように「人の役に立てる人間にな」るために医大に入学を決めた彼女は,その準備期間中に教会でボランティア活動をしていたが,その教会で爆弾テロに巻き込まれ,その短い人生の幕を閉じた.

 

エンノイア・バラード

 南米一帯を取り仕切る巨大麻薬カルテルのボス.コカインを取り扱う.
 ハナより遅れること6ヶ月.同じくバイオスフィア施設で生まれ育つ.15年をそこで過ごした後,原父連邦軍の襲撃後に離島.彼らの手を逃れるためにペルーに避難した.そこでの14年間で南米最大の麻薬カルテルを作り上げた.
 その後コロンビアに移り父クリスについて調査.原父連邦との接点を発見し,原父連邦に協力を申し出る.が,その計画の途中で裏切ったために,以来原父連邦から敵視されている.

 「エンノイア」はグノーシス主義において「思考・思念」を司る女神の名.原父プロパテールの伴侶であり,その女性的位相を成す.(原父主義に傾倒していたクリスがその意味で名付けてたらかなりヤだなぁ...)

 

ハナ・メイオール

 バイオスフィア施設で生まれ,その後常にエンノイアと行動を共にする.エンノイアとの間に,ジナエリヤマナの3人の子を儲ける.2108年にエンノイアと決別し南米脱出を試みるが原父連邦の襲撃に遭い拘束される.そして,エンノイアとノマドと協力して実行された救出作戦にて,原父軍に銃撃され意識不明の重体に陥る.2112年現在,何とか意識は取り戻したが,身体機能,記憶に大きな障害が残っている(脳に障害があるため義体化は法令により禁止).施設にてリハビリ中.

 

クリス・バラード

 エンノイアの父.ユーサムリッド所属の軍医.妻はリンダ・オリークでアルバニア派遣時に出会ったWHO職員.
 アルバニア撤退時にイスラム原理主義ゲリラに妻が捉えられ,原父連邦に救出されたが,引き替えに以来原父連邦に情報を流すようになった.が,それはきっかけに過ぎず,原父の思想に傾倒し,原父こそが「本当の理想を持った」組織だと信じている.エンノイアが幼い頃にバイオスフィア施設を離れたために,エンノイアでさえその顔は覚えていない.
 その後にバイオスフィア施設に降り立った連邦軍に加わっていたが,エンノイアに父と知られぬまま,彼の手にかかって命を落とす.

 

ナザルバイエフ・カーン

 ノマドに所属.グルジア人.
 グルジアでアイゼルバイジャン系回教徒独立のために戦い,破れる.

 

ソフィア・テオドレス

 ノマドに所属する天才ハッカー.脳を除いて完全サイボーグ.歳は40を超えるが,ティーネイジャーの義体に入っているので外見はとても若い.ギリシャ人.
 家庭崩壊のため素行不良で社会不適合者の道をまっしぐらだったが,数学の才能を買われ,原父連邦の元でハッカーとしての才能を開花させる.が,母親の死亡を機に完全義体化.その後原父から逃亡した.
 息子の一人アンドレアはノマドの一員.末っ子のカイルは,マーヤ奪取作戦中に死亡.他に6人の子がいるが,本編には登場していない.
 グノーシス主義,ギリシャ神話では「ソフィア」は「智恵」を司る女神.

 

ケンジ・アサイ(浅井健二)

 カーンと共に行動する,カーンが育て上げた殺人マシン.日本人.
 日本のウィルス被害により放棄された街サクリファイスタウンで兄龍一とそのグループと共に育つ.兄は独立した傭兵のようなグループを組織しており,主に日本のヤクザの元で仕事をこなしていたと思われる.
 カーンが来日中に何らかのトラブルがあり,兄龍一を殺されたことからずっとカーンを憎んでいる.その後,その力に気付いたカーンが引き取り,ノマドの傭兵として訓練を受けた.

 

ヘレナ・モントーヤ

 売春婦.コロンビア出身(?).
 民族浄化で村を焼かれ,前線に従軍慰安婦として送られる途中,越境中のエリヤ,カーン大佐一向によって救出される.作中では描かれていないが,トニーに彼らと一緒に回収された後,行く当てが無かったために彼のシマの売春宿で働くことになった.
 マヌエラをクリニックに入れた際にペドロの怒りを買い,右耳と左眼を失う.以来左眼には義眼が入っているが,耳も目も髪で覆って隠している.
 ペドロとの一件の後エリヤと付き合うことになるが,2111年末ごろから,エリヤと別れて,リマ市警のレオナルドと付き合い始める.恐らくその頃に,売春からは足を洗った.

 

リコ

 リマ市警,麻薬課の刑事.ペドロとは幼い頃のサッカー仲間.
 おとり捜査に失敗し仲間の刑事を殺されたことで,ペドロを徹底的にマークしている.
 スラムの育ちだが,世の中を少しでもまともにしたいと警察官になる.正義感が強い.彼が憎む曲がった世の中の一部であるエリヤは,彼のような人間に対し常に後ろめたさがある.

 

 

ペドロ・オクタビオ

 リマで勢力を伸ばし始めたチンピラ.マルチネスの部下.
 薬中の母親を持つ.父親は不明.まともに働けない母親を抱え込んでいれば当たり前の困窮だっただろうが,もしかしたら母親にドラッグを与えるために,幼くしてヤクザの世界に足を踏み入れる.そして,ある取引でのトラブルを乗り切ったことで組織から一目置かれ,出世街道に乗る.
 マヌエラは恋人というよりも母親代わりなのだろう(彼女から一切もらうことができなかった「愛」を求める対象という意味で).セックスを求めた彼女に対して拳を振り上げたのも,生活環境や商売柄から汚れたセックスばかり見てきた彼にとって,マヌエラだけは他の女とは違うと思いたかったのか.「女(セックス)=商売道具」と刷り込まれている彼には,僕らがセックスが特別な関係と思うのと同様に,あるいはそれ以上に,「セックスレス」が特別なのかもしれない.
 本心では母もマヌエラも陥れたヘロインを憎んでおり,また恩義を盾に弟エミリオソーサをいいように使う組織を良く思っていない.そのため,以前から,弟と共に逃亡する計画を練っていた.

 

エミリオ・ソーサ(マルコ・オクタビオ)

 通産省の対外輸出入部門の部長.
 ペドロの父親違いの弟.オートメーターの援助の元,戸籍を変え,大学を卒業し,通産省の役人となる.その立場を悪用し,税関フリーパスで連邦領内から麻薬を持ち込みマルチネスに渡していたが,それに内務省が感づいて睨みを利かしている.逮捕されるが先か,口封じのためにオートメーターによって消されるのが先か.だが,エミリオは原父連邦に情報を流すことでコネを作っておき,内務省やオートメーターが動く前に亡命しようと計画していた.

 

マヌエラ・エレノア

 ペドロの女.薬中の売女.
 16歳のとき,妊娠を知った男に捨てられたことからヘロインにはまり,売人とトラブルを起こしていたところでペドロに拾われる.そのとき身ごもっていた「長男」は生まれてまもなくヤク欲しさにブラックマーケットへ売られてしまって消息不明.
 一度ペドロによる荒療法で薬中から立ち直ったかと思われたが,すぐに薬中に逆戻り.以来ペドロから,「健康的な」量のドラッグを与えられつづけている.

 

セシィ

 マヌエラの子.父親は不明.
 ヘレナがマヌエラを引き取った後の期間にエリヤとともに同じ下宿舎で生活.エリヤには妹のようにかわいがられ,心を通わす.
 母親の関心が十分自分に向いていないことに感づいている.ヘロインが無ければ関心を取り戻すことができるかもしれないと,あまり表には出さないが,マヌエラのことを一番心配しているのは間違いなく彼女だろう.

 

ナオミ

 ヘレナと同じ宿で働いている.日系人.エリヤより1つか2つほど年上と思われる.もちろん売春宿で働けるような年齢ではないが(この世界では規定年齢を満たしていれば売春自体は違法ではないのだろうか?),サバを読んでごまかしている.
 家出して路上で客引きをやり,同業者にヤキをいれられそうになったところをヘレナに助けられ,一人前の売春婦としての作法を叩き込まれる.そんなヘレナに憧れている.

 

リッキー

 エリヤの親友.ハナ・マナ救出時から共に行動している.
 エリヤがコロンビアへ移住する以前からの友人.

 

アラン・マルチネス

 オートメーターの右腕として活躍していた.現在はオートメーターよりその支配権を引継ぎ,組織のボスの座についている.ペドロを従える.

 

オートメーター

 トニーとは別勢力のリマを支配したマフィアのボス.現在は支配権をマルチネスに譲渡し,引退している.
 「健康な肉体を金で買いつづけた」ために半身がサイボーグ化されている.イーニーとバーニィを側に置き,彼ら以外には,エンノイアとエノアとしか会わない.

 

トニー・アイモア

 エンノイアの右腕.No.2.エンノイアよりペルーの支配を任されている.

 

ニッコー・オブライエン

 エンノイアの左腕.アイルランド人.コンピュータ,メカ,ロボットに強い.エンノイアが原父に協力を申し出たときに,原父に派遣され,プレーローマに参加していた.
 現在はその世界からは引退し,郊外でジャンク屋を営んでいる.いろんなところにコネがあり,違法なものでも大抵入手できる.

 

 

例の男

 内務省に雇われ,ペドロの手下として潜入.
 具体的なスパイとして活動をしていた描写は無いが,内務省がソーサマルチネスの関係などの情報を事細かに握っていたことは,彼の成果かもしれない.逆に,市警のオトリ捜査などの情報を流すことで,ペドロからの信頼を得ていた.エリヤはその情報を掴み,内務省に強請(ゆすり)をかけた.市警は,内通者がいることには感づいているが,人物も組織も掴んでいない.
 ヘレナが襲われた際に「黙って見ていた」ことでエリヤは共犯と認定(一応暴力は止めてみたりしたのに).自らの手で制裁を下す.エリヤの初めての獲物となった.

 

マーヤ (5)

 謎の多い重要人物.あらゆる電子機器を瞬時でコントロール化においたり,天才ハッカーの防壁をいとも簡単にかいくぐったり,コロイドと難なくコンタクトをとったりと,高度情報化社会において「神」的な超越的力を持っている.現在は原父連邦に協力している.
 2108年に原父連邦とウィルヘルム社と共同で開発されたマインドプログラム.本人は「人間のシナプスと接続するためにプログラムされた」「世界を救うためだよ.ソフィアもやってみたいでしょ」と語っている(後者が,(1)でのクリスのセリフと似ているのは偶然だろうか?)

 マーヤの「オリジナル」としての本体は「脳もつくりもの」のサイボーグ.作ったのは人間だが,設計したのは「神」.つまり偶然の産物,なんらかの偶然の要素を利用して新しいシステムを発生させるメカニズムによって生まれたということだろう.そして,そのメカニズムが,エリヤが持っていたMAYAと名付けられたプログラム.

 時々マーヤ自身の口から「僕を作った人」の話を聞くことができるが,これを聞く限りでは,かなりの人格者だったようだ.具体的な人物像は一切明らかにされていないが,マーヤ自身の言うものとは別の意味での「神」というオチも感じなくもない.あるいは遠藤浩輝氏自身だとか.

マーヤ語録(開発者の言葉)
 「世界中の女には幸せになる権利がある」
 「神様の肌は黒くも白くもない.空気と同じ色をしているから見えないんだ」

 ボディに収まっている彼は1つのインスタンスにすぎず,世界中のサーバーに彼のコピーが存在するという事は,つまり世界中で,マナにしたのと同じように,人々にコンタクトを取り,映像と会話によって「コロイドの中」へ導く案内役として働いているということではないだろうか.

 世界に絶望した人々を,新しい神であるコロイドへ導き救済する姿が,かつてのキリストと重ね合わせられている.ケイト・ミシマの「今回は神様も学習したのかもね」という発言は,彼は人間の手では殺せない存在として生まれてきたことに対する皮肉だろう.

 「マーヤ」とは,サンスクリット語で「幻覚」という意味.ヒンドゥー教の教えでは,普遍で不滅である「真実」に対峙した,変化し,朽ちやすく,始まりと終わりのあるものすべてはマーヤであるとする.即ち,この世の存在全て,この世界そのものもマーヤである.
 ちなみに仏教においては釈迦の母の名にあたるが,直接は関係ないだろう.

 

ケイト・ミシマ

 分子生物学者.ディスクロージャーウィルスの研究者.オーストラリアパース郊外のディスクロージャーウィルス研究施設に所属.叔父が原父連邦の権力者で,同施設でのキャリアもそのコネによる部分が大きい.

 

ラヴィ・シヴァン

 臨床医.専門は不明.インドでクロージャーウィルスに犯された患者を診ていたがディスクロージャーウィルス変異が発現し,アメリカCDCからも視察を受けた.
 その後,そのキャリアを買われてか,オーストラリアで同様にディスクロージャーウィルス患者を診察していたが,その患者のうちの一人,アボリジニのドナルド・メンデスがシヴァン氏に無断でケイト・ミシマのウィルス研究施設への献体と実験に応じたため,彼女の施設へ抗議に行くことになった.
 妻マシュレはディスクロージャーウィルスに感染し,現在はコロイドに組み込まれている.

 

マリハン・イサク

 ウイグル族の活動家.アズハル大学を首席で卒業している.
 新疆ウイグル自治区での,漢族(中国人)によるウイグル族の弾圧,支配を排除し,ウイグル族による東トルキスタン独立を主張する.
 中国政府はウイグル自治区でも北京語教育を実施し「中国人化」するという同化政策を行っており,中国人にならなければ社会的地位も経済的利益ももたらされない現状を打開するため,ウイグルという民族の固有の文化を守っていくために,中国の支配から独立しなければならないと考えている.そして,この問題の存在を世界の人々に知ってもらい,世界的な支持を得るために,連邦が開発した油田と人命を人質に取ったテロ実行に踏み切った.テロの最大の目的は世界の支持を得て活動の勢いを得ることであるが,テロという手段を行使することが即「狂った過激な殺人集団」と認識されてしまうリスクも伴うため,テロ実行後の行動は特に慎重にとらなければならない.人質を殺害するなど世間のヒステリーを爆発させる行為はもってのほかだ.しかも,独立後の経済源とするために油田を破壊することもできない.
 破壊的行為を一切制限された状況から生還するためにはよほど世界世論の支持が得られなければ難しいが,ノマドの協力があれば可能かと考えていたかも知れない.が,問題はノマドの目的が原父の失墜までであって新疆の解放ほどではなかったこと.彼女がそこまで知っていたかどうかは定かではない.

 

ハリル・ハサン

 トルコ系ドイツ人.国際テロ組織のメンバーで,ヨーロッパ全土での爆弾テロ事件に関与したとしてICPOに国際指名手配されている.
 両親はトルコのクルド人だったが「豊かな生活」を求めてドイツに移住したためにドイツで生まれ育ったが,クルドの山こそが自分の本当の故郷だといつも感じている.
 マリハン・イサクとともに,油田テロに荷担するが,原父連邦軍の突入によって命を落とす.

 

レオナルド・ペッソア

 ペルー警察特務課.ミリアムの相棒.特務かとしての本業でペルーマフィア(エンノイアのグループ)の監視をする一方,原父連邦情報部のスパイとしても活動.さらにエンノイア側へ原父連邦の情報を流していた.原父連邦情報部としての雇い主はエルドリッチ(一緒に写っていた写真は保身のために第3者か自動カメラに撮らせたものと思われる).主な活動目的はペルー併合のための裏方.
 そんな一人三役生活に疲れたため,ヘレナと共に逃亡を計画する.事実上エリヤからヘレナを寝取った形になってしまったため,保険として原父連邦上層部とマナに関するデータを盗み,ニッコーに渡した.が,原父連邦によって手配された逃走計画は,当の連邦が裏切り,逃がし屋として現れたジョニープルサードに暗殺された.

 

ミリアム・アローナ

 2089年生まれ.24歳.英国生まれ.ペルー警察特務課で巡査部長を務める.父親は英国軍人.母親はペルー人.10歳でペルーへ移住後,ベウフォート警察学校を首席で卒業.ノンキャリアの出世組.「リロードには自信がある」と今時リボルバーを愛用.ガッツに溢れ男を怖れない元気すぎる女性.キレると怖い.処女.

 レオナルドの元相棒.レオナルドに恋心を抱いていたが進展無し.レオナルド殺人事件捜査中,容疑者としてタレコミのあったヒカルドラッソーの逮捕に同行中,彼が狙撃されたため,関係者による隠滅だとすれば重要な手がかりになるはずと猛追.その狙撃犯エリヤにガッツを認められる.その後エリヤの調査で,お互いの仇討ちという目的一致のため協力関係を結ぶ.

 

ヒカルド・ラッソー

 カレノッティファミリーのチンピラ.ペッソア暗殺の4日前にジョニー・プルサードからカレノッティファミリーに打診があり,彼がかり出され,レオナルド,ヘレナの暗殺を実行した.
 タレコミがあったために容疑者として別件逮捕されているところで,ヘレナの仇として,エリヤによって狙撃された.

 

ジョニー・プルサード

 殺し屋.オーストラリア人.エルドリッチから仕事をたびたび請け負っていた.オーストラリアで5件の殺しに関与していたことをうけ,

 

リチャード・エルドリッチ

 元原父連邦海軍環太平洋方面情報部少佐.退役後ウィルヘルム社へ天下り.
 ペルーの原父連邦併合のために,ペルーへ派遣されていた.

 

ウェンディ・マッコール

 PUPO本部捜査科.ペッソア殺人の容疑者としてあがったジョニープルサード逮捕のためペルーへ派遣された.英語が堪能だからと(オーストラリアとの関係を悪化させたくない時期に,一人暴走しかねないミリアムを抑えるためが本音か)ミリアムが対応に当たることになった.
 恋人はルーシー・フォン・ユンというベトナム系4世のかわいらしい女性.

 

レティア・アレテイア

 エリヤが手に入れたMAYAのコピーを元に,エンノイアとルミナス社によって開発された.ボディは100%サイボーグ.脳と脊髄は事故で回復の見込みのなくなったある女性のものを初期化してプログラムをインストールした.製造後3年は経過しているものと思われる.
 今までに登場したマーヤのコピーはマーヤと同一の人格を保持していたが,レティアは全く別の人格になっているのも,その辺りの「経験値」がオリジナルと異なっているからだろうか.たぶん全登場人物の中で一番クール.人間らしい豊かな感情を形成するにはまだまだ経験が足りないようだ.
 アレテイアとはギリシャ語で(というよりキリスト教で)「真実・真理」を表す言葉.マーヤの「幻」と正反対の意味であることも面白い.

 

ミゲル・クエルダ

 エンノイアの組織の下っ端.臨時でジナの大学送迎を任されていたとき,彼女をレイプから助けた事をきっかけに,彼女と深い関係を持つようになる.
 盲目の妹の手術金のため,「北の方」からボコタシティへ出稼ぎに来ていた.ジナの協力を得て,組織の金を持ち逃げ.彼女に匿われていたが密告によって発見され「落とし前」として射殺された.

 

ジョナサン・ファインマン

 ナノマシンLEOのベーシックを開発.8年前に息子夫婦を交通事故でなくし,孫息子フランクも重傷を負った.人工臓器移植で何とか一命を取り留めたものの,生体回復のために組み込んだLEOが暴走を起こしフランクは死亡.責任を感じたジョナサンファインマン自身も焼身自殺を図ったが,死には至らなかった.
 今はケアンズ北リザード島で隠居生活を送る.

 



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