2006.3.24 23:35 .
久しぶりに「良い映画を観たなー」と思いました.
「村上春樹の世界をここまで忠実に映像化した映画はない」という人がいましたが,それは確かに「世界」という意味において極めて忠実でした.
映画は文学における唯一の表現手法である文字=言葉による表現だけでなく,映像や音楽という異質な表現手法を持つ芸術です.だから文学の表現実体をそのまま映画で表現する必要は全く無く,事実この映画ではそれを主軸に据えることをせず,それでも確実に春樹ワールドへ僕を引き込んでいったことに畏敬を覚えます.
ただひたすらに美しい映像.冷たさと優しさを兼ね備えた音楽.愛を知らず孤独に生きた男から零れ落ちた一雫の愛.現代美術館の巨大なホワイトキューブの中で見つけた一輪の花のような,人間の本質的孤独を静かに肯定する本作は,一般的に見ればヤマが無く退屈なのかもしれないけど,僕にとってはだからこそ,最初から最後まで多くの感動とインスピレーションを与えてくれた映画でした.
繰り返し何度も観たいと思うのは,こういう映画です.


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